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夏休みの自由研究
(生き物編)


 身も蓋もないことをまず書いてしまうが、自由研究のテーマそのもの(=何を自由研究のテーマにするか)をだれかに教えてもらうというのは、「自由」でも「研究」でもないと思う。まず子ども自身がどうしても好きになってしまった事やモノ、どうしても気になって仕方のない事やモノについて、実証し検証を繰り返し考察を深めて欲しい。親はそれを「お、それ自由研究にイイね」と認めてあげるだけで十分。それが自由研究の本来の目的でもあり、意味だと思う。
 ちなみにぼく自身は、小学校時代は虫のことが大好きで、夏休みはずっと虫捕りをして過ごしている子どもだった。だから虫の事以外に興味はなく、当然自由研究は虫のことばかり。つまり昆虫の標本を作ったり、虫の調査ばかりしていた、ということだ。
 例えば、能勢・妙見山で、ずっと図鑑でしか知らなかったミヤマカラスアゲハを捕ることができ、その標本と道端で吸水していた様子を絵に書いて提出した。今でもあのため息が出そうな美しい羽の模様と道端に群がっている様子に興奮したことがありありと目に浮かぶ。別の年には、飼育していたノコギリクワガタが死んだとき、胸部と腹部がちぎれてしまったので、分解標本に解説も付けて持っていった。高速道路のパーキングエリアのトイレの壁にいたノコギリクワガタを生まれて初めて採集し、それを大事に飼っていたのだが残念ながら死んでしまったのだ。今でもあの窓にしがみついていたノコギリクワガタを見つけた時のドキドキは忘れられない。
 ただ当時は、標本などを持って行くと、クラスの子たち、とくに女の子たちは「ざんこくぅ〜」とか言うし、先生は「毎年虫だね…」というこちらにしてみたらちょっとがっかりするような、あまり良くない反応だった。まあでも自由研究なんてそんなもんでいいではないか。なぜならぼく自身は大満足だったから。現代は「ネットで検索した自由研究が友だちとかぶっちゃった(同じフロアのパートさんの話)」というようなご時世。世の中に溢れている情報はさておき、本気で好きなことや気になったことを徹底的に追求させてみてはいかがだろうか?詳しくは本編で。




竹本大輔(たけもと・だいすけ)

1973年生まれ。大阪市阿倍野区西田辺町で生まれ育つ。幼少の頃は「三度の飯よりも昆虫好き」。山に川に海に出かけては、捕虫網を振り回している子ども。小5の時に、友だちとふたりで出かけた山中での初めての野宿に感動、それ以来キャンプは生活の一部になる。大学生の時は、YMCAでキャンプリーダーとして子どもたちとのキャンプに明け暮れ、現在は自分の家族や友人とキャンプという、今も昔も変わらない趣味。現在は愛知県名古屋市在住。妻と子ども3人(小5女の子、小2男の子、2歳女の子)の5人家族。「付き合ってあげよっか」というノリで私の趣味に付き合ってくれる理解ある家族。
 仕事は、冷温水機能のついたウォーターサーバーと天然水ボトルを宅配する会社。ブランド名は「アクアセレクト」。三重県の伊勢神宮ゆかりの天然水を届けている。ウォーターサーバーの宅配を通じて「田舎と都会を結ぶ架け橋」をスローガンに、都市部のお客様を採水地である田舎部へお連れするということも年間を通し行っている。その中でたくさんのご家族と天然水の採水地を訪れ、「自然に親しむということとはどういうことなんだろう」と別の視点からも考えるように。
 春は野草観察、山菜採り、家庭菜園。梅雨になれば梅干し、梅酒つくり、そしてカブトムシ捕り。夏には、夜の川に潜りウナギ捕り。海に出てはカヤックやヨット。秋には木の実を探し歩き、登山を楽しむ。冬には雪山登山やスキー。まだまだ子どもが一緒に楽しめないものもあるが、一年を通してアウトドアライフを楽しんでいる。



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