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キャンプ


 ぼく自身の思い出に残るキャンプは、小学校5年生のとき。親友と2人っきりで、大阪と和歌山の県境「犬鳴山」という山の、大きなお不動さんがあるお寺の、そのまた上流の河原でキャンプをした。生まれて初めての、子どもだけのキャンプ。「野宿」と言ってもいい。
 大阪心斎橋のアメリカ村というところで、ビビりながら米軍払い下げの大きなザックを買い、江坂の東急ハンズで登山用のEPI社のガスコンロを買った。家から持って行った行平鍋に、レトルトカレーと真空パックのご飯を入れて温め、食べた。テントもマットもなく、安物の化繊の寝袋を湿っぽい地べたに敷き、降ってくるような星を眺めながら眠りについた。最高だった。
 徐々に仲間が増えていき、本当に毎週のように出かけて行った。夏だろうと冬だろうと関係なかった。中学生になっても高校生になっても、変わらなかった。部活やアルバイトの合間を縫っては、キャンプ三昧。彼女とデートした後、電車に飛び乗って仲間に合流し、クリスマスを山で過ごしたこともあった。キャンプ場でもなんでもない河原にテントを張って、薪を集め、火を焚いて、飯を炊き、そして食う。それだけのことだ。生活のこと、例えば料理や衣服、快適な住まいの工夫など、すべてはキャンプで覚えた。
 時を経て3人の子どもの父親になったが、相変わらずのキャンプ三昧。アクアセレクトの採水地である三重県多気郡大台町でも、よくキャンプをしている。夏が過ぎるとキャンプ人口は一気に減少する。気候的にも過ごしやすく、実はベストのキャンプシーズン。父と子でキャンプに出かける前に、いい道具を買い揃える前に、読んでいただければ幸いである。続きは本編で。




竹本大輔(たけもと・だいすけ)

1973年生まれ。大阪市阿倍野区西田辺町で生まれ育つ。幼少の頃は「三度の飯よりも昆虫好き」。山に川に海に出かけては、捕虫網を振り回している子ども。小5の時に、友だちとふたりで出かけた山中での初めての野宿に感動、それ以来キャンプは生活の一部になる。大学生の時は、YMCAでキャンプリーダーとして子どもたちとのキャンプに明け暮れ、現在は自分の家族や友人とキャンプという、今も昔も変わらない趣味。現在は愛知県名古屋市在住。妻と子ども3人(小5女の子、小2男の子、2歳女の子)の5人家族。「付き合ってあげよっか」というノリで私の趣味に付き合ってくれる理解ある家族。
 仕事は、冷温水機能のついたウォーターサーバーと天然水ボトルを宅配する会社。ブランド名は「アクアセレクト」。三重県の伊勢神宮ゆかりの天然水を届けている。ウォーターサーバーの宅配を通じて「田舎と都会を結ぶ架け橋」をスローガンに、都市部のお客様を採水地である田舎部へお連れするということも年間を通し行っている。その中でたくさんのご家族と天然水の採水地を訪れ、「自然に親しむということとはどういうことなんだろう」と別の視点からも考えるように。
 春は野草観察、山菜採り、家庭菜園。梅雨になれば梅干し、梅酒つくり、そしてカブトムシ捕り。夏には、夜の川に潜りウナギ捕り。海に出てはカヤックやヨット。秋には木の実を探し歩き、登山を楽しむ。冬には雪山登山やスキー。まだまだ子どもが一緒に楽しめないものもあるが、一年を通してアウトドアライフを楽しんでいる。



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