息子がやって来て、季節の行事が楽しみになりました。
大人だけで暮らしていた頃は、仕事中心の生活だったので、
クリスマスさえ、まともに意識したこともありませんでした。
おそらく、7月の行事である七夕に気づいたのは、
小学生以来かもしれません。
久しぶりの七夕は、8月生まれの息子が1歳の時。
飾りを用意しながら、折り紙に触れるうち、
自分がとても好きだったあることを思い出したのです。
それは切り紙です。
今年作った切り紙はこんな感じです。
7.5センチ四方の小さな折り紙で、三角を三回折り、
適当にはさみで切り込みを入れたのち、開くと
いろいろな模様が現れます。
どんな模様になっているかな?
と開く瞬間のワクワクが、たまらなく好きなのです。
正確には、いくつか切れば、
模様をある程度予想できるようにもなるのですが、
敢えて、何も考えず、無心で切ります。
開く時のワクワクを楽しみたいからです。
できあがりだけを見ると、複雑そうにも見えますが、
写真のように思うまま切り込みを入れていけば、
何かしらの模様ができあがります。
実際にはとても単純で、簡単な作業です。
息子が1歳の時の七夕は、
大好きな切り紙を思い出したことが嬉しくて、
息子そっちのけで、切り続けました。
息子は周りで遊んでいただけだったと思います。
息子が2歳の時の七夕は、
私がどんどん作り出す切り紙を、
息子が笹に飾ってくれました。
そして3歳になった今年、息子がこう言ったのです。
「お母さんの(かざり)きれい。自分でやりたい。」と!
なんと切り紙に興味を持ってくれました。
母が息子そっちのけで切り続けているのですから、
興味を持って当然とはいえ、とても嬉しい言葉でした。
しかしながら、まだハサミを持つ手もおぼつかない3歳。
3歳でできる切り紙とは、どんなものだろう?
ワクワクしながら開く楽しみを
どうやったら盛り込めるか、
実際に息子に切ってもらいながら、
可能な形を、二人で試行錯誤して考えました。
そして、3歳(11ヶ月)でもできた切り紙が
これらです。
折り紙で三角を二回折り、
3つの頂点を切り取ります。
開けば、お花のできあがり!
お花をクリアしたら、
折り紙で三角を三回折って、同様に頂点を切ります。
すると、こんな模様に。
4回折れば、こんな複雑な模様に。
いずれも、折り紙を折る回数が違うだけで、
作り方は同じです。
三角に折って行く様子は、
時計回りに見てもらえるとわかるでしょうか。
小さな三角ができたら、頂点を切ります。
全ての頂点を切ると、前述のような模様が現れます。
自分でできる!と手応えを感じた息子は
私同様、無我夢中で切り続けるようになりました。
すると、頂点を切らなかったり、
別の部分をわざと切り落としたりして、
次第に自分でアレンジするようになりました。
すると、おばけができたよ!
キャンディーができた!
と思わぬ模様も現れたりして、
大喜びで、ますます夢中に。
気付けば自力で、
こんなにたくさん模様を作ってくれました。
最近は毎日、幼稚園から帰ってくると
たなばた(切紙をすること)やりたい、といって、
すぐにハサミを持ちます。
嬉しいので、私も傍らで一緒に切ります。
二人で並んで、無言で切り続けます。
おかげで飾れないほどの大量の切り紙飾りができました。
しかも、まだ生産継続中。
この文章を書いているのは7月11日ですが、
この次点での笹の様子はこちらです。
小さな笹なので、もう飾るところがありません。
笹の下には、飾れない切り紙と切り屑が大量に。
しかし二人の熱は冷めやらず、
まだまだ作ることになりそうです。
そして、この写真を見ながら、
大切なことを忘れていたことに
気づきました。
七夕とは!
願い事を短冊に書いて飾るのが
本来の目的でしたよね?
それすら飾らないまま、
まだまだ二人は切り続けることになりそうです。
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