のんびりと続けさせてもらっていた連載『食べられる庭図鑑』が書籍になります。

私は、ただただ植物を育てることが好きな園芸オタクです。

もう10年以上前になりますが、食べられる植物を中心に育てようと決め、気になる植物を片っ端から育ててきました。

長く付き合ううちに、放っておいても育つ植物や、虫と仲良くできる環境作りなどがわかるようになり、庭仕事はますます楽しいものになりました。

たくさん育てた中から、連載で紹介した植物はもちろん、大幅に加えて、おすすめできる88品種を選び、それらの魅力やエピソードをたっぷりと詰め込んで4月7日に発売となります。

たくさんの方に楽しんでもらえますように！

花を楽しみ、さらには食べる

26　ボリジ

　ボリジの花の魅力をこのページだけで伝えられるか心配です。それほどボリジに心を掴まれているのです。

　毎年、春が動き出す時、真っ先に背を伸ばすのがボリジです。緑の季節が始まるよと教えてくれる存在なのです。ボリジの蕾がつくと、期待で胸がいっぱいになります。




　ボリジはこぼれ種からよく育ちます。どこにいるかな？と楽しみに探すと、思わぬ場所から芽が出ていることも。ここはちょっと……と思うような場所に生えてきたとしても、なるべくそのまま育てるようにしています。ボリジの根は直根性で、植え替えが苦手だからです。




　さほど大きくならないうちに蕾が付きます。下を向く花の咲き始めはピンク色で、徐々に透明感のある爽やかなブルーに変わるのですよ。その色の移り変わりの美しさと言ったら！うっとりと眺めるしかありません。

　花びらはやわらかく、エディブルフラワーとして食べられます。サラダに散らしたり、ワインに浮かべても素敵です。



　ボリジは蜜源植物で、虫がたくさん集まってきます。美味しい蜜をみんな狙っているのです。よほど美味しいのだろうなあ！と思います。今の季節なら、受粉してほしいイチゴやサヤエンドウなどを近くに植えておくと、ついでに立ち寄ってくれますよ。
　



　高温多湿には弱く、酷暑では生き伸びることができません。でも、涼しくなった秋に芽を出すことがあります。それらは冬を越して、春にはとても大きな株に成長します。

　もし秋に芽が出なくても、気にせず春まで待ちましょう。適温になれば、あちこちから顔を出すはずです。

　初めて育てる場合は、発芽率が高いので種蒔きするか、苗を買ってきて植えます。一度付き合いが始まれば、何年にもわたり、大切な庭の仲間になるはずです。

【食べ方】
花をサラダやデザートの飾りに。ドリンクに浮かべても。葉は食べられないので注意。

ボリジとキウイのアイスキャンディー
１）アイスの型に好みのジュースを入れ、冷凍庫で冷やし固める。
２）１〜２時間たったら、アイスの棒で中身を軽く崩し、ボリジ、薄切りしたキウイを入れ、さらに２時間ほど冷やし固める。