06 五山送り火に、思うこと。



大文字の送り火。昨夏は出町柳から眺めました
京都のシンボルのひとつが、

大文字山


お盆の締めくくり、五山送り火で、火が灯される五山のひとつが、「大文字」です。
ほかに、「

左大文字

」「

妙法

」「

鳥居形

」「

船形

」があって、 8月16日の夜8時から順に点火されます。

「今年はどこで見よう!?」と、友だちと誘い合ったり、 よく見える知人の家に集まったり、
ずっとどこかお祭りのような気分で見ていました。

見え方、感じ方が変わったのは、父が他界してから。
大切な人を失ってはじめてわかった、しみじみとありがたい、大事な行事です。


「六道まいり」でにぎわう、六道珍皇寺
夜も雰囲気があります
今年もお盆がやって来ます。
お盆は、お精霊しょうらいさん=ご先祖さまの
霊が家に帰ってきます。
京都でも住んでいるエリアや宗派、
慣わしでそれぞれ違うと思いますが、
うちでは「六道まいり」でお盆がはじまります。


「六道まいり」でお迎えの鐘をついて、お盆がはじまります
冥土まで響いて、お精霊さんたちを迎えます
8月7日〜10日の間に、

六道珍皇寺

にお参りし、
お精霊さんをお迎えにいくのが、「六道まいり」。
六道珍皇寺は、あの世とこの世の境目とされ、
お精霊さんはここから家に帰ってきはります。
お迎えの鐘をつき、
高野槙で水塔婆を浄め、お供えします。


8/7〜10「六道まいり」の間は、すぐそばの五条坂で
陶器まつりを同時開催。京都の窯元や若手作家が出店
子どもの頃は、いつも祖母が 早朝にお迎えの鐘をつきにいっていました。
早朝なのは、鐘をつくのにたくさん行列するからです。 当時に比べれば、お参りは少なくなっている気がしますが、 日が落ちて涼しくなった頃は順番待ちの長い列ができます。
「おかえり、迎えに来たよー」と、 心の中で話しかけながら、 ゴーンと一回、鐘をつきます。
今年もこうして来られてよかったなあ、 そう思うだけで泣きそうになるのは、年のせいでしょうか。

父の初盆では、初日にいそいそとお迎えにいったのが、
5年も経つとお迎えにいくのが都合で遅くなって、
「お父さん、早よ来てえなって言うてるやとなあ」なんて
母と笑っているのですから、人はたくましいなあと思います。
こうして悲しみを乗り越えて、人は生きていくんやな。
時が経って、わかることがあります。


お盆のお供え、初日はお迎え団子をつくります
そして、お盆の間は、
精進料理のお膳をお供えします。
それから、おだんご。
初日のお迎えだんご、最終日のお送りだんごは、
うちでは白玉でつくっています。
和菓子屋さんのはり紙によればこんな感じ。
8月13日はお迎えだんご、白餅(おけそくさん、ずっとお供えします)、蓮菓子、
14日はおはぎ、
15日は白むし(おこわ)、
16日はお送りだんご。
手間やけど、1年のわずか5日間のことなので、
楽しんでやっていると、ご先祖さまと過ごす時間は、あっというま。


そうして迎える、五山送り火。
父も、祖父母も、見てきた、送り火。
その火が今も絶えずにあること。
大切な人を失った悲しみが癒されるように、 毎年、人の手で火が灯されていること。
いろんな思いがこみ上げて、ありがたくて、胸がいっぱいになります。


五山送り火、大文字山の護摩木奉納は銀閣寺前で受付
送り火の護摩木は奉納することもでき、
大文字は

銀閣寺

の門前で、
8月15日・16日に受け付けています。
なくなり次第終了になるのでお早めに。
奉納すると、送り火を見ていても、
思いが深まります。
また、送り火の消し炭は厄除のご利益があるとして、
翌朝、大文字山に拾いに登る人もあります。

さて、8月16日の夜8時になると点火、
おーっと見物客から歓声が上がります。
花火のような華やかさはない。
けれど、とても美しくて、圧倒的。
しばらくすると、静かに火が消えていきます。
「さよなら、またね、また来年」。

1年に1度、あらためて家族を思う、お盆。
どうぞ、よいお盆をお過ごしください。








京のおやつ


ちべたさと甘さがじーんとしみいる、かき氷パトロール
ニュースになるくらい猛暑がつづく京都、このままでは旅行者が来なくなるのではと思うくらい、暑いです。暑気払いは、かき氷で。京都は名店ぞろいで、行列する店も少なくありません。この夏もあれこれ食べています。
はじめて食べた飴専門店、祗園小石の、わがまま氷(1)は、中にあんみつが隠れていて、二度おいしい。舞妓さんのあんみつが、店主と話している間に温くなったので、氷をのっけてあげたら、舞妓さんのあいだで評判となり、メニューになったそうです。わがままを言うてくれて、ありがとう。
1年に1回だけ登場するのが、「木と根」に大阪・八尾の「ダイドコ帖」が出張してつくる、枝豆のかき氷(2)。枝豆と氷、まさかの出会いですが、塩っけと枝豆の味がとてもいい。かき氷レボリューション、来年もやってほしい氷です。 大好きな梅香堂では、フルーツミルク氷(3)をはじめてチョイス、ここはマンゴーも黒糖も好きで悩ましい。丸久小山園のあずき京氷室(4)もからだにしみ入るおいしさでした。 信じられないけれど、夏本番はこれから! まだまだかき氷パトロールはつづきそうです。

著者プロフィール

宮下亜紀(みやした・あき)

京都に暮らす、編集者、ライター。
出版社にて女性誌や情報誌を編集したのち、生まれ育った京都を拠点に活動。「はじめまして京都」(共著)のほか、「絵本といっしょにまっすぐまっすぐ」(「メリーゴーランド京都」鈴木潤著、アノニマ・スタジオ)、「雑貨店おやつへようこそ 小さなお店のつくり方つづけ方」(トノイケミキ著、西日本出版社)など、京都の暮らしから芽生えた書籍や雑誌の編集を手がける。
www.instagram.com/miyanlife/


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