第13回 カマキリ~成虫と卵編~
夏の暑さがやわらいで涼しさを感じ始める頃、それはそれはかっこいい立派なカマキリに出会えます。脱皮を繰り返して成虫になるのが、夏の後半からこの頃なのです。カマキリの生命とも言えるカマはより大きく、よりトゲトゲしくなり、なんとも勇敢に見えます。それでいて小顔でスラリとしていて、スタイル抜群。ついついイケメ〜ンと声をかけたくなるほど、惚れ惚れとする姿です。
今年、我が家の庭に棲んでいるのはオオカマキリです。その名の通り、カマキリの中で一番大きな体をしています。
オオカマキリにとてもよく似ているチョウセンカマキリが棲んでいたこともあります。オオカマキリに比べてひとまわり小さいのですが、よく似ていてぱっと見では判断がつきません。もうひとつの判断材料は、カマである前脚の付け根あたりの胸の色です。オオカマキリは薄い黄色、チョウセンカマキリはオレンジ色です。文字で書くと似たような色ではあるのですが、チョウセンカマキリの胸元ははっきりとしたオレンジ色なので、意外とわかりやすいです。
他によく見かけるのは、ハラビロカマキリです。これもその名の通りで、他のカマキリに比べてお腹(ハラ)が広い形になっています。全体の印象はずんぐりむっくりとしていて、キュートな印象です。
さて、今年のカマキリの様子です。それぞれにある程度のテリトリーがあるのか、テラス前、縁側前、玄関先、駐車場横あたりの4箇所に、それぞれ1匹ずつ、立派なカマキリが獲物を待ち構えております。
おもしろいなと思うのは、ぶら下がっていることが多いこと。上から見下ろすことで、獲物を死角から狙うことができるからだと思います。カマだけでなく、足の先もトゲトゲしているので、葉や茎にうまくひっかけて、じっと獲物を待っています。頭に血がのぼらないのかしら?と心配になるほど、結構な時間こうしています。
時々は、眼を拭いたり、大切なカマの手入れをしている姿を見ることができます。狩のために準備万端といったところですね。
そういえば一度、自転車のかごにカマキリが乗っているとは知らず、一緒にサイクリングしてしまったことがありました。10分ほど走った後、自転車を停めて荷物を下ろそうとしたとき、庭でよく会う子がカゴから私を見ているではないですか!風を切って勢いよく漕いでいたのに、振り落とされなかったのは、足のトゲトゲのおかげ、普段の手入れの賜物かもしれません(驚いてカマキリを捕まえ、やさしく包んで連れて帰り、元いた場所に戻しました。その後も元気でした)。
ところで、益虫、害虫という言葉がありますが、このカテゴリに照らし合わせるとカマキリは益虫です。庭のあらゆる虫を食べているようです。動くものは獲物と認識するようで、手あたり次第食べていっているように見えます。我が家の庭ではいわゆる害虫が大量発生することが少ないのですが、おそらくカマキリの仕事ぶりも一役買っているのではと思います。
けれど、カマキリの世界だけで見てみると、とてもシビアな環境でもあります。動くものを獲物と認識とすることは、たまたま居合わせたカマキリを、他のカマキリが食べてしまうことがあるからです。次の動画は、まさにその瞬間を捉えたものです。
よく見ると食べられているカマキリはお腹が膨らんでいるようです。秋の繁殖期を迎えていた時期だったので、もしかしたらもう少しで卵を産むところだったかもしれません。それなのに、同じ仲間に捕食されてしまうなんて泣けてきます(補足:お腹が膨らんでいても無精卵だったり、寄生虫が棲みついている場合もあるそうです)。
生きものを紹介する本や動画にもよく載っていますが、交尾を試みて近づいたオスが、動く餌として認識されてメスに食べられてしまうということもあるそうですね。
さて、そんな自然界の過酷な環境を経て、生き残ったメスのカマキリは秋の終わりに卵を産みます。泡のようにも見える不思議な形を見たことがあるかもしれません。これはこの後、越冬するために寒さや乾燥、そして敵から守るための卵のお家のようなもの(卵鞘)。
このカマキリの卵のお家は、種類によって形が違います。円錐のような丸っこい形はオオカマキリ。細長い木の枝や草の茎で見つけることができます。
平らで楕円形のような形は、ハラビロカマキリ。これは建物の壁や木の幹など比較的広いところに産みつけられていることが多いです。
細長い形はチョウセンカマキリ。比較的、低い位置で見つかることが多いです。これは向かいのお子さんがカマキリを捕まえて虫籠に入れていたら、籠の網の部分に産みつけていたもの。逃げられないと思い、産んでしまったのかもしれません。
さて、もし成虫の立派なカマキリを見つけたら、手のひらに誘導して乗せて遊んでみてください。近くで見ることで、立派なカマやつぶらな瞳をよく観察することができます。怖いもの知らずの成虫のカマキリは、私たちに向かって立派なカマを見せて、戦いを挑んでくることもあります。カマキリから見たら巨人である私たちであっても、怯まず、強気に出てくるなんて、なんとも勇敢でかっこいいですね。
でも、しばらく遊んだら、また元いた場所に放してあげてくださいね。彼らの秋は子孫を残すための大切な繁殖期。立派なカマキリにまた来年会えるよう、彼らの出会いの機会を奪わないようにしましょう。
次回は、とてつもなくかわいい赤ちゃんカマキリの誕生について紹介します。そしてカマキリって飼えるの?と疑問に思った私たちの実験と反省についても。どうぞお楽しみに!
| 見つけやすさ | ★★★★★ |
| 飼いやすさ | ★★ |
| イケメ〜ン度 | ★★★★★ |
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プロフィール
良原リエ
音楽家。アコーディオン、トイピアノ、トイ楽器の奏者として、Eテレ「いないいないばあっ!」の音楽をはじめ、映画やテレビ、他アーティストの楽曲などの演奏、制作に関わる。インテリア、庭づくり、ハンドメイド、リメイク、子育てなどライフスタイル全てが活動・表現の場になっており、親子、子ども向けのワークショップ、イベントプロデュースなども行っている。著書に「食べられる庭図鑑」「たのしい手づくり子そだて」「まいにちの子そだてべんとう」(アノニマ・スタジオ)「トイ楽器の本」(DU BOOKS)など多数。
instagram ID : rieaccordion
良原リエさんの本
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