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かぞくのブリコラージュ~自分たちで暮らしを作る、日常の発明記~かぞくのブリコラージュ~自分たちで暮らしを作る、日常の発明記~

文・写真・題字/中村家


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チャプター2

その2 ブリコラ家族のリビング




 ブリコラで作ったものたちはその後、どうやって使われてきたのか、使われているのか。我が家の現在と共に紹介します。




 青い壁と青い床、青いカーテン。
 我が家=青い、と覚えてくれている人もいるくらい、とにかく青い我が家のリビング。とくに青が好きなわけではないのに、こんなにも青い部屋を作ったのは、もともとこの家のリビング床に貼られていた絨毯がきっかけです。
 藤野で家探しをしている中で出会った築38年の別荘のリビングは、バブルを感じる絨毯張り。しかも肉色でした(ピンクじゃなく肉色)。かなり広めのスペース一面の肉色を見て、そのまま暮らしていくイメージはぜんぜん湧かなかったわたし。でも、さすが(?)空間デザインが仕事のひょーさんは「この絨毯を生かし、むしろ可愛く見せる空間を作る自信ある!」と宣言。肉色を生かす色!として選ばれたのが、今の灰色がかった青い壁色なのです。肉色×青って文字にするとどんな空間…?という感じですが、不思議と心地いいバランスでまとまったのでした。





 暮らしはじめて数年後、その絨毯はまさに「かぞくのブリコラージュ チャプター1」連載中にひっぺがして、喘息持ちの息子の体に負担のないマーモリウムという天然リノリウムに張り替えました。色んなカラーがあったので、また肉色を選ぶこともできたのですが、選べるとなったらまあブルーグレーがいいかな、とさらに全面的に青い空間となっている現在です。




 そんな青リビングで存在感を発揮している、「その11 欲しいものは自分でつくる レコードプレーヤーfor父」で製作したレコードプレーヤー。
 開閉口の金具が外れる事態は何度も発生しつつ、毎日我が家で音楽を奏でてくれています。このプレーヤーは夫ひょーさんが憧れのディーダー・ラムスデザインのBRAUNレコードプレーヤーへの想いを注ぎ込みまくって妥協なく作ったもの。遊びにきた人の評判も良く、その都度ひょーさんは鼻の穴ふくらませて誇らしそうにしております。ですが!幸か不幸かBluetooth機能も搭載させて作った…ので、レコードをセットしなくても音楽が聴けてしまうのです。聴けちゃうと結局Apple Musicつないで聴いちゃうものですよね…。だってなんでも聴けるんだもの…と、そんなわけでレコードはぜんぜん増えず、未だ3枚しかない我が家。いやはや、せっかく作ったのだから針を落としてもっと聴くべきですね!




 レコードプレーヤが置かれている備え付けのチェストには子どもたちの道具やおもちゃがパンパンにつまっています。大きめのチェストを丸々子ども用にしたので、とりあえず子どものものがとっちらかっていない空間の維持ができる!(とりあえず入れちゃうので扉の中は大変なことになっています)はずが、たいして買ってるつもりはまったくないのに、なぜか増えていく子どもの道具やおもちゃ…。チェストに収まりきらなくなっているってどういうこと?!と、慌て作った 「その15 おもちゃ箱カーfor息子」だったのですが。慌てて作っちゃダメですね、という教訓を得たブリコラのひとつとなってしまいました。壊れて使わなくなった小さな子ども用チェストの棚を塗り替え、タイヤをつけて、移動もできるおもちゃボックスを作ったものの、チェスト用の棚は浅い。おもちゃがごちゃごちゃして見える…。深い箱のほうがいいよね?うちに何個もあるりんご箱のほうがよくない?と、移動ができるカータイプのアイデアは残し、タイヤをりんご箱に付け替えました。おもちゃの収納もばっちり。のはずなのにまた収納しきれなくなっている最近です。知らぬ間におもちゃが増えていく謎の現象…。おもちゃ収納、またまた再考しなくてはいけません…。






 タイヤ付き収納はもうひとつあって、窓際に置いてあるカゴやキャンドルを置いてあるボックス。これは前回紹介したキッチンのフィソロフィーストッカーを作った時の端材で作ったものです。あると地味に便利。タイヤ付きなの掃除もしやすいです。




 地味に気に入っているものといえば、リビングの照明です。こちらは引っ越してきた時に作った、植木鉢のランプシェード。
 ホームセンターに売っている素焼きの植木鉢をひっくり返して、電球を通しただけのお手製ランプシェードは、6年リビングを照らし続けてくれています。


これからしたいこと
 カーテンは引っ越してきた時にリネンの布で作ったもの。気に入っているのですが、薄手なので冬は寒い。寒いことを無視して6年暮らしてきましたが、エネルギー問題的にももうちょっと工夫をしたいところだよなあ、と思っています。カーテンを変えるとイメージがガラリと変わりそうなのと窓が規格外でとても大きいので、作るのも大変。そんなわけでなかなか踏み切れないのですが、いつか勇気と行動力を発揮したいです。



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中村俵太(ひょうた(父/夫)

「HYOTA」として空間デザインを生業にしつつ、中村家のあらゆる『家族』活動のディレクター的立ち位置も。決断力と実行力はあるけど計画や段取りは非常に苦手。人見知り。日本生まれ日本育ちなのに日本語がおかしい。極めて楽天的でポジティブ。家族愛は強いがピントがいつもややずれがち。

中村暁野(あきの(母/妻)

家族や生活をテーマに執筆活動を行なっている。理想を追って突っ走りがち。でもその突っ走りによって人生動かしてきたという自負もあるので、引き続き突っ走る気まんまん。ブリコラ生活の果て2021年夏「家族と一年商店」がオープンし小商店主という予想だにしていなかった人生展開もスタート中。

中村花種(かたね(娘)

繊細で敏感な子ども時代を経て、現在爆発的パワーで家族を圧倒する思春期入り口の13歳。極度の内弁慶だったけれど藤野暮らしの中で壁を越え、自分の世界を築こうと成長中。現在両親のやることなすこと、言うことスベテが気に入らない反抗期真っ只中。

中村樹根(じゅね(息子)

マイペースでごきげんな6歳児。人類みな友達的オープンマインド。恐竜がだいすきで1日の半分、心は恐竜の世界へ。甘いもの大好き。虫歯になりがち。姉とはトムとジェリーのような関係。

バター(うさぎ)

花種さんの膝に飛び乗るすきを常に伺っていた、アメリカンファジーロップのオス。2022年の3月、天国へ...。花種さんの部屋の前の、ユスラウメの木の下に眠っている。



家族カレンダー

中村暁野
定価 1760円(本体価格1600円)
ひとつの家族を自身の家族で取材して制作する雑誌『家族と一年誌 家族』編集長である著者による初めての自著。ブログに綴った5年の間には、たくさんの幸せな日とそうでない日とがありました。「家族」を通して自分と社会に向き合い続けた実験の記録。一日々々のかけがえのなさを感じられる一冊です。


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