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かぞくのブリコラージュ~自分たちで暮らしを作る、日常の発明記~かぞくのブリコラージュ~自分たちで暮らしを作る、日常の発明記~

文・写真・題字/中村家


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その14
キャンプギアロッカー for みんな





以前とある撮影で集めたキャンプ用品一式。アウトドアとは心の距離がだいぶある中村家ですが、家の押し入れや物置やらに押し込まれたまま数ヶ月経つキャンプギア一式はあまりに不憫…。ということで、家の中のじめっとした、とあるスペースをキャンプギア置き場へと改装してみることにしました。じめじめイメージは一新、そして毎日ギアを目にすることで、俄然キャンプをしてみよう、という気分も高まり一石二鳥。思うように進まない中村家の内部事情を踏まえると、キャンプ気分高めている場合なのかどうか、という疑問は湧きますが。とにもかくにも、まるでキャンパーかのようなロッカー、できました。










キャンプギアロッカーまでの日々
(2021年4月1日~4月30日まで)




4月1日

花種さんと逗子のシネマアミーゴに「プラスチックの海」を観に行った。プラスチック汚染の現状が描かれたドキュメンタリーです。樹根は保育園に行ってもらって、ふたりで。こういう時間も貴重。シネマアミーゴは一軒家を改装してつくった小さな映画館で「映画館じゃないみたい」と花種さん。映画は打ちのめされる内容で涙がでた。知っているつもりのことも、映像だとダイレクトでショッキング。字幕で難しいところも多かったけど花種さんも家に帰って、家にあったプラスチックの本をひっぱりだして読んでいたので感じること多かったのでしょう。



4月2日

わたしとひょーさんは、藤野在住の陶芸作家小泉敦信さんの器のファン。小泉さんの個展が代々木上原のAELUで開催しているので家族で向かう。先日小泉さんの工房に伺ったんだけど、その日会うなり持参の芋けんぴを撒き散らしてしまった樹根。そして今日はギャラリー入り口で持参のドーナッツを巻き散らかしてしまった樹根…。小泉さんと会う=おやつ撒き散らかしがちな樹根…。気に入ったお皿を購入。うっとり。



4月3日

新年度にむけ、シュタイナー学園にて親たちで行う教室移動、そうじ、クラス会。5年生になる花種さん。クラスに転入生が入ってくるので、その子のご両親もきていて、保護者で歓迎会も開催(子どもたちは不在の、親たちだけの歓迎会です)。転入生の子のお父さんが一芸(?)としてけん玉を披露してくれました。花種さんは転入生をものすごーく楽しみにしている。「どきどきする~わくわくする~」と、ずっと言っている。たのしみだね。




4月4日

近所に住む友達の誕生日会があったのだけど、今年度の家族の目標は「作れるものは買わずに作る&プラスチック削減」なので、それを念頭(?)にプレゼントを作った。イースターの日も近いとかで、作ったクッキーは卵の空きケースにいれてラッピング。なかなか可愛くできたんじゃないでしょうか。「100円ショップでラッピング用品買いたかった~」と最初ブータレてた花種さんも、まあ満足気になったのでヨカッタヨカッタ。



4月5日

樹根、最近木登りが上達していて、庭にあるサルスベリの高~いとこまで登っていく。見ているとひやひや。見ていないとドシンと落ちたりもする。ひやひや。



4月6日

庭の桜もほぼ葉桜。なのだけどお花見したい、と子どもたち。お花見は口実でおやつパーティーしたいだけだと思われます。ちらし寿司やらケーキやらゼリーやら用意して、近所の子たちも呼んで、お花見開催。地面に散った花を見るのも、まあお花見といえるでしょうか。




4月7日

弾む足取りで家を出ていった花種さん、5年生!樹根は年中さん!ふたりとも新しいお友達が仲間入りした新学期だったので、帰ってくると話が止まらない。永遠にしゃべり続けるふたりの声をBGMに、もらった甘夏の皮でピール作り。




4月8日

藤野にはオーガニックフラワーを路地栽培で育てている花農家さんがいらっしゃる。「four peas flowers」さんといいます。オーガニックフラワーは虫も土も傷つけない。すばらしい。春は球根つきのチューリップが販売されて、シュガーブラウンという茶色とオレンジが混ざり合ったような色のを購入。ガラス瓶に球根ごと飾るとかわいい。花が枯れても球根を植えたら来年また咲くかもなんだって。そんなお楽しみまであるなんて、なおすばらしい。




4月9日

シュタイナー学園、今日は入学式。一年生の子達が入ってくるこの日は花種さんの入学式のことが胸に蘇る。きっと素晴らしい日々が始まる…!と感じられたあの日。子育ての日々の中で、もっとも嬉しかった日ともいえる1日だったと思うなあ。ずっと集団生活が苦しそうだった花種さんも、見守るのがしんどかったわたしも、すべて受け止めてもらって祝福してもらっているような気がした。新しい一年生たち、そして保護者の方々の晴れやかな顔を見るだけで、ああ、胸がいっぱいだ。



4月10日

菜の花、山吹、花大根。小道や土手にいっぱいに咲いている、春の野花の可愛さよ。土手という土手にゆらゆらしてるの、一瞬ですよ。季節がすぎるの、一瞬ですよ。うかうかしてられないな、ということで、摘んで砂糖漬けを作った。花摘みは樹根の担当です。




4月11日

ブリコラ農園に、パクチーやらバジル、レモングラスなどなどハーブの種を蒔く。近所に先日引っ越してきたウタちゃん。樹根のひとつ上で、とっても仲良しに。2人でテラスの胡桃の木の芽をむしりまくっておままごとしている。あまりにもむしりすぎていたので、途中で止めたけども、ほほえましい。ウタちゃんはお母さんがリトアニアの人なので、日本語とリトアニア語を話す。はじめて耳にする美しい響き。ひとつ気になっているのは、ウタちゃん樹根を女の子だと思っているんじゃないか…?というところです。



4月12日

花種さん、学校で「工芸」という授業が始まるので、工芸用ワークエプロンと軍手、30×20の巾着袋を持参しなくてはならない。わたし、死ぬほど苦手なミシン作業をがんばり、なんとか巾着を制作。手こずった末「たねちゃん、自分でつくったのね~」と、先生に言われそうな巾着が完成しました。




4月13日

コマ回しにハマっている樹根。シュタイナー学園の1~2年生くらいの男子たちが華麗なる技を見せてくれるもんだから、憧れ募ってしょうがないみたいで。コマの紐をまくのだって、結構難しいよなあと思うんだけど、時々自分で巻くのに成功してる。2/100くらいの確率で回すことにも成功してる。




4月14日

先日購入したチューリップ。「four peas flowers」さんの手書き紹介文で「めずらしい色に心躍ります」と書いてあった。それを読み上げて購入したのだけど、今日樹根に「ママ、こころおどってる?」とふと聞かれて「ふつーかな」と答えたら「なんでよ!!あれがあるからこころおどるでしょお?!」とチューリップを指さして訴えられた。よく覚えてるなあ!とびっくりしたし、その言葉が出てくる4歳の思考回路を想像するともう可愛くて。




4月15日

わたしとひょーさんが始めることになったお店、「家族と一年商店」。空間は早々に出来たんだけどもさ、肝心の商品はいろいろあって、思うように進まないイロイロ。箱だけできて中身がないって、なんだかわたしたちを象徴しているようで心ザワツク…。ひょーさんは空間デザインの仕事の方も入っていて、バタついている。イロイロ心ザワツクザワツク。




4月16日

先日作った花の砂糖漬けを使って、花種さんがマフィンを焼いてくれた。いいじゃんいいじゃん、かわいいじゃん。




4月17日

ギャラリー「studio fujino」さん(ものすごく素敵なギャラリーです)が藤野内で移転オープンにむけ古い民家をリノベーション中。オーナー藤崎さんにばったり会う度「お手伝いにいきますよ!」と言っていたひょーさん(藤野のばったり、超高確率)。そして言うばかりで全くお手伝いにいってなかったひょーさん。ついに有言実行。リノベーションお手伝いへゴー。新星「studio fujino」、どう考えても素敵になりそうで楽しみ。作業心に火がついたのか(?)我が家のトイレの前にある小部屋(?)というか空きスペースのリノベーション作業にも着手ゴー!以前ある仕事のスタイリングでキャンプ用具一式を揃えたことがあり、そろえられた道具は行き場なく家の押し入れ各所に押し込まれていた……のですが、このトイレ前の小部屋というか空きスペースを、キャンプギアの置き場所にしよう!ということに。キャンプギアロッカールームが次回のブリコラじゃ!(トイレ前ってのが気になるところだけども)。




4月18日

キャンプギアロッカールームの改装作業デイ。なんだけど、今年は地域の田んぼチームに混ぜてもらって、お米作りをすることになっていて、田んぼの草抜きも。ブリコラに田んぼに多忙。「家族と一年商店」の準備進まない中、多忙。ブリコラと田んぼで多忙……。わたしたち大丈夫ナノカナ。フアンダナ。




4月19日

去年の秋に庭にバーラバーラと蒔いた、菜の花の種。ぜんぜん育たないなあ、と思っていたらいつのまにか芽がぐんぐん大きくなって、花が咲いて。花が咲く前の茎、おいしくて毎日サラダで食べてる。花が咲いてもサラダで食べてる。




4月20日

散歩をしていたらウドとカモミールの花をもらった。カモミールの花をさっそくお茶に。良き香り!!うちのカモミールは花がぜんぜん咲かないんだよなあ。 ブリコラ農園の野菜は、もじゃもじゃと育ってきているけども。



4月21日

モッコウバラ満開。藤野に越してきた年か、義母のヨウコさんにもらった小さい苗がずいぶんと育った。植えても枯れてしまった苗(ラベンダーとか)もあるんだけど、このモッコウバラはぐんぐんと育ってくれてる。樹根が保育園に持っていきたいというので、小さなブーケを作って持たせた。子どもも、バラも、育っているナア。




4月22日

ひょーさん誕生日。しかし明日本番のコンサートの舞台美術を担当している彼はアトリエにこもり佳境。誕生日だって忘れているかも?と帰ってきた花種さんと樹根と、ケーキを焼いてアトリエに行こうとしていたんだけど、花種さんがデコレーション用に使いたかったという生クリームをわたしがケーキに焼き込んでしまい、母と娘、大揉め大げんか。母と姉の間で樹根号泣。という中村家あるあるの事態に。あるあるとはいえ、毎度疲労感はすごいよ…。なんとか仲直りし、3人でケーキを持ってアトリエへ。ひょーさん驚き&喜び。ものすごく散らかったアトリエでみんなでケーキを食べました。


4月23日

ひょーさんが美術を担当した蓮沼隼太フィルのライブを観るため、子どもたち2人連れて渋谷のオーチャードホールに行ったんだけど、もう首都高なんて二度と二度と乗りたくない。車線変更のたび絶叫しながら運転して疲れ果てた…。絶叫しなければいいんだけど、絶叫しないではいられなかった。首都高、恐怖です….。ライブを子どもたちが楽しんでいたので、死ぬ思いをした甲斐はありました。舞台を観て「パパがつくったの?パパかっこいい」と樹根はひょーさん嬉死するようなコメントしてましたし。



4月24日

ブリコラロッカー作業。暗くてじめっとしたおトイレの前(こだわっている)のイメージを変えるため、廃材のつぎはぎで壁作り。そしてお米の田んぼの草抜き。またもブリコラと田んぼのコンボで多忙な土曜日。明日から東京はまた、緊急事態宣言。らしい。もう、なんとも。ね。



4月25日

そろそろタンポポが終わってしまいそうなので、いっぱい摘んだ。食事の時のお手ふき用に草木染めするのです。タンポポにミツバチがとまっているのをみて、「たんぽぽ全部とったらだめなんだよ、ほかのハチの子のぶんもとっておかなきゃ」と、樹根。とりすぎちゃいけない、独占しちゃいけない。そういう感覚って本能みたいに人間に備わっているはずのものなんだな、と思う。そういう感覚をなくさないまま、持ったまま、生きていきたい。わたしも。



4月26日

摘んだタンポポでかわいい黄色のお手ふきができた。自分が使うものを自分で作ること、そういうことを大事にしたい。と思いつつ横を見ると、一仕事終え疲れ引きずっている様子のひょーさんがいます。



4月27日

進まぬ「家族と一年商店」のことを話し合っていて、ついついケンカになる。話し合い=ケンカになる、この夫婦での仕事の立ち上げ期。わたしもひょーさんも、やりたいこととやるべきことと、やれること……のバランスをとるのがとても下手くそな気がする。今月、わたし自信なくし気味です。はあ。



4月28日

花種さん、学校で「動物学」を学び中。今はライオンの生態を学んでいるそう。学んだことを話しながら描いてくれたライオンの絵、なかなか良いかんじ。いろいろ教えてくれたのに、学びの内容すっかり抜けている母(ひどい)。頭が煩悩にとらわれてオリマスデス。



4月29日

春といえばヨモギオイル作り。(ヨモギは一年中あるけれど新芽が一番良きということで)太白ごま油できときと煮込むだけ。ヨモギオイル作りを、なぜか楽しみにしている樹根。一緒にやらないと怒るので一緒に作り、きときとになりながら完成。そしてキャンプギアロッカーも、無事完成。じめっとしていたおトイレ前にずらりキャンプギアが並んで、イメージ一新。なんだかキャンプ好き家族みたいだけど、人生で一回しか行ったことない。ので「よし、キャンプに行こう!」とひょーさん。やることは山積みなのに、キャンプに行ったりしている場合なんだろうか……。そもそもキャンプギアロッカーを作っている場合だったんだろうか、と思いつつも、寄り道や回り道にも、きっと意味がある。はず。とキャンプギアロッカーが完成!(2回言ってみました)



4月30日

G.Wだ。4月が終わってしまう。なんだかイロイロ作った4月。でも肝心な仕事のほうがちっとも進んでない4月。緊急事態宣言発令中な2021年の4月。そんな4月の最後にやっとやっと樹根の端午の節句飾りを出せた。うちの飾りは「桃太郎」の一刀彫り。こんな時代を生きるのは大変だ、子どもたちよ。と思ってしまうけど、どんな時代だって、大変さはあったんだもんね。1年生き延びれるかわからないような時代もあった。今だって、明日も生きられますようにって願い生きている人もたくさんいる。いつだって、みんな子どもの成長を願い、無事を願い、お祝いの日を重ねてきたんだ、と思う。たくさんの人のたくさんの時代の、その願いに重ねるように私も祈ってみる。 しあわせな一年を。すこやかな成長を。心を込めて祈ってみるよ。




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中村俵太(ひょうた(父/夫)

「HYOTA」として空間デザインを生業にしつつ、中村家のあらゆる『家族』活動のディレクター的立ち位置も。決断力と実行力はあるけど計画や段取りは非常に苦手。人見知り。日本生まれ日本育ちなのに日本語がおかしい。極めて楽天的でポジティブ。家族愛は強いがピントがいつもややずれがち。

中村暁野(あきの(母/妻)

家族や生活をテーマに執筆活動を行なっている。理想を追って突っ走りがち。でもその突っ走りによって人生動かしてきたという自負もあるので、引き続き突っ走る気まんまん。ブリコラ生活の果て2021年夏「家族と一年商店」がオープンし小商店主という予想だにしていなかった人生展開もスタート中。

中村花種(かたね(娘)

繊細で敏感な子ども時代を経て、現在爆発的パワーで家族を圧倒する思春期入り口の13歳。極度の内弁慶だったけれど藤野暮らしの中で壁を越え、自分の世界を築こうと成長中。現在両親のやることなすこと、言うことスベテが気に入らない反抗期真っ只中。

中村樹根(じゅね(息子)

マイペースでごきげんな6歳児。人類みな友達的オープンマインド。恐竜がだいすきで1日の半分、心は恐竜の世界へ。甘いもの大好き。虫歯になりがち。姉とはトムとジェリーのような関係。

バター(うさぎ)

花種さんの膝に飛び乗るすきを常に伺っていた、アメリカンファジーロップのオス。2022年の3月、天国へ...。花種さんの部屋の前の、ユスラウメの木の下に眠っている。



家族カレンダー

中村暁野
定価 1760円(本体価格1600円)
ひとつの家族を自身の家族で取材して制作する雑誌『家族と一年誌 家族』編集長である著者による初めての自著。ブログに綴った5年の間には、たくさんの幸せな日とそうでない日とがありました。「家族」を通して自分と社会に向き合い続けた実験の記録。一日々々のかけがえのなさを感じられる一冊です。


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