アノニマ・スタジオWebサイトTOP > 京都暮らし ケときどきハレ日記 もくじ > 10 福来る、新しい年のはじまり!

10 福来る、新しい年のはじまり!


初詣はいつも上賀茂神社。大雪だった年も
さあ、新しい年がやって来ます。
どんなに忙しくても年末年始は楽しい。
一年を振り返れば、うれしいことも、
しんどいこともあるけれど、
いつものようにお正月を迎えるとほっとして、
気持ちを新たにできます。

一年の締めくくりに、除夜の鐘をつくのが
ここ数年の、私の楽しみです。
NHK「ゆく年くる年」でおなじみの

知恩院

では僧侶がつきますが、
除夜の鐘をつかせてもらえるお寺が
実はあちこちにあります。
整理券を配布して108組というところもあれば、
人数制限なくつけるところもあります。

建仁寺

高台寺

智積院

知恩寺

法然院

……、
名高いお寺でも実施されていますので、行きやすいエリアで見つけてください。


僧侶に見守られながら、心を込めて。
私は歩いていける、地元のお寺へうかがいます。
すぐ近くなのに、除夜の鐘がつかせてもらえるなんて、興味を持って調べるまでちっとも知りませんでした。
紅白歌合戦を早めに切り上げて、きーんと寒い夜道をお寺へ向かいます。

僧侶に見守られて、釣鐘の前へ。
心を穏やかにして、鐘をひとつき。
ごーんと、静けさの中に鐘の音が響きわたり、心がすーっと落ち着きます。
一年の穢れが祓われ、つきものから解き放たれたかのように、 身体もふわっと軽くなるからふしぎです。
お寺は小高い山の中にあり、帰り道はごーん、ごーんと、方々から鐘の音が聞こえてきて、しみじみジーンとします。
この感動を一度味わうと、毎年つかずにはいられません。一年の締めくくりにふさわしい、究極のデトックスやなあと思います。

大晦日、八坂神社のおけら詣り
大晦日は

八坂神社

のおけら詣りも人気。
古式にのっとって祈願された御神火を灯籠から縄に移し、消えないように火縄をくるくるまわしながら持ち帰ります。
持ち帰った“おけら火”は神棚の灯明や雑煮を炊く火種にします。
初詣へ向かう人もあふれ出し、京都の街は夜通しにぎわいます。

さて、年が明けたら、まっさらな気持ち。
福を授かりにあちこちお参りします。
初詣にはじまり、一年の無病息災、
商売繁盛を祈願する祭事が続きます。


十日戎で、舞妓さんの福笹授与
まず、関西でおなじみの、十日戎とおかえびす
七福神の一神、商売繁盛の神様として親しまれる、
“えべっさん”に参拝します。
京都では、

京都ゑびす神社


十日ゑびす大祭が知られます。
1月8日〜12日にわたって、神事がつづき、
9・10日は夜通し開門。
舞妓さんによる福笹の授与もあって、
京都らしく華やか。
いつもそのタイミングを狙ってお詣りします。


泉山七福神めぐり。笹に縁起物を授かる

泉涌寺

がある泉山内の寺院をめぐる、
泉山七福神めぐりもおすすめです。
あんがい知られていないのがもったいない、
子どもの頃から親しんできた行事です。
福笹に縁起物をつけていくのは、十日戎に通じますが、 寺院をめぐってひとつずつ授かるのがとても楽しいのです。
お茶やお粥の接待があったり、 市街を見晴らす景色と出会えたり。 なにより縁起物がたまらなくかわいく、素朴な郷土玩具さながら。
ひとつ300円くらいからありますが、ちょっと奮発して大きな鯛や鶴をつけるもよし、笹がだんだんにぎやかになって、いい年になる!って思います。
毎年、成人の日。ゆっくりとお山をめぐってください。

御香宮神社で振る舞われる、七草粥
1月7日は、

御香宮神社

西院春日神社


七草粥が振る舞われ、こちらも大好きな行事。
たくさんの人出なのでお早めに。
成人の日に近い1月の日曜に開催される、

三十三間堂

の通し矢。
全国から弓道の有段者が集い、
本堂西側にて的を射ます。
この日、三十三間堂では“楊枝のお加持”も。
観音様に祈願した法水を柳の枝で
参拝者の頭に注ぎます。
諸病を除くと伝えられるので、無病息災祈願にぜひ。
2019年は1月13日(日)です。


お正月、白湯に入れていただく大福梅。
12月13日から授与され、なくなり次第終了
どれだけ福を授かりにいくのか、欲張りにめぐる自分にちょっとあきれますが、 年始の行事はしあわせを願う人でいっぱいで、 あたたかな雰囲気に満ちていて、お参りするととても気持ちがいいのです。
清らかな気をいっぱい吸収して、よい年に!




京のおやつ


笑顔といっしょに福来る
今年も出店してはったらいいなあ、毎年、そんな気持ちにさせるのが、えびす焼き。京都ゑびす神社の十日戎にて、鍵甚良房さんが店頭で焼きはる名物おやつです。遅がけにお参りして終わってはったこともあったので、出会えたときはうれしくて。中に挟んであるのは、あんこ。うまいことえべっさんに仕立ててはって、包みを開けて並んだ顔に笑ってしまいます。2019年も出会えますように。

著者プロフィール

宮下亜紀(みやした・あき)

京都に暮らす、編集者、ライター。
出版社にて女性誌や情報誌を編集したのち、生まれ育った京都を拠点に活動。「はじめまして京都」(共著)のほか、「イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由」(イノダコーヒ三条店初代店長 猪田彰郎著)、「絵本といっしょにまっすぐまっすぐ」(メリーゴーランド京都店長 鈴木潤著、共にアノニマ・スタジオ)、「雑貨店おやつへようこそ 小さなお店のつくり方つづけ方」(トノイケミキ著、西日本出版社)など、京都の暮らしから芽生えた書籍や雑誌の編集を手がける。
www.instagram.com/miyanlife/


アノニマ・スタジオWebサイトTOP > 京都暮らし ケときどきハレ日記 もくじ > 10 福来る、新しい年のはじまり!