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07 とっておきを探して、「市」めぐり。


京都には、たくさんの「市」があります。
市とは、マルシェ、マーケット。
蚤の市、手作り市、フードマーケット……出会えるものも、スケールも、さまざま。
最近は、仲間たちではじめた小さな市も増えて、「市」好きのわたしにとってうれしいかぎりです。


東寺の弘法市など、京都は市がたくさん
最もよく知られる「市」と言えば、
毎月21日の

東寺

の弘法市(弘法さん)と、
毎月25日の

北野天満宮

の天神市(天神さん)。
骨董や古道具が人気で、早朝には人気ショップのオーナーたちが買い付けに来ているほど!
ここ目当てで旅する人もいるくらいの名所ですが、
暮らす人にとってはどちらも、ケの市。
実は、おいしいおやつや日用品の出店も多く、
おじいちゃん、おばあちゃんもいっぱい。
外国人旅行者と地元の人がまじり合い、
思い思いに楽しんでいます。
日常のつづきに「市」がある、
その感じがとてもよいのです。

掘り出し物探しが楽しい
お漬物や鯖寿司、おだんご、コーヒー……
くいしんぼうなわたしは
手作りの味と出会えるのもうれしい。
マップがあるわけではないので、
どこに好きなお店があるか、
通ううちにだんだんつかめてきて、
おなじみさんになっていくのがうれしい。
楽しみ方がたくさんあって、
はじめての方にもおすすめです。


お漬物やお餅など、おいしいものも
大原の朝市、こちらもよく知られています。
大原は、京都の街中から
車で40分くらいの、里山です。
大好きなお寺のひとつ、

三千院

があって、
ちょっと遠出にはなりますが、
田畑が広がり、清らかな水が流れ、心が洗われる、
観光にもおすすめの場所です。


大原の朝市
朝市は、毎週日曜の午前6時から9時まで、

里の駅 大原

」で開催。
午前6時といえば、冬場はまだ暗いですが、
京都市内のみならず、遠方からも
おいしいもの好きがわざわざやって来て、
プロの料理人も買い出しに来ます。

大原に咲く可憐な花も並ぶ
大原は、有機栽培に取り組む若い生産者も多く、
採れたての野菜や花、
手作りのお餅やお寿司なんかもあって、
早朝からわくわくします。
京都は街やけど、田畑がすぐ近くにあって、
直にその人から旬の食材を手に入れられる。
京都の食はそうして支えられているのだと、
実感します。


ほかにも、魅力的な「市」はたくさんあります。

アンスティチュ・フランセ関西

のル・マルシェは、フランスのマルシェそのもの。
毎月1回日曜(不定期)にあって、クリスマスシーズンやパリ祭の重なる7月はいつも以上ににぎやか。

下鴨神社

の古本市もファンが多い、人気の「市」。
世界遺産である糺の森に古本がずらりと。
毎月15日の

百万遍知恩寺

の手づくり市、
第4日曜に

上賀茂神社

である上賀茂手づくり市も、手作り好きにはつとに有名です。

どんな人が、どんな思いでつくったか。
作り手のことをわかって買い物をすると、安心できるし、最後まで大事に使いきりたくなる。
作り手も、思いをわかって選んでくれる人がいれば、よりよいものをつくりつづけることができる。
そうしたら、いい暮らしの循環ができていく。

Kyoto farmers market
最近、そんな想いからはじまった、
小さな市も増えています。
毎月第2・4木曜のKyoto farmers market は、
誠実な生産者さんと直につながりたいと、
はじまって2年になります。
場所は、美術学校の校舎だった、
元田中の「

the SITE

」。
運営スタッフには、子育て中のお母さんたちも多く、
出店者も買い物に来た人も、井戸端会議のように気さくに話して、情報交換できるコミュニティとしても、大事な場所になっています。

「ここで買った野菜がおいしかったとか、
そんな小さな気づきが暮らしを見つめるきっかけになると思うんです。
こんな市がいろんなところに増えていけば……。これは小さな革命なんです」。
スタッフのお一人から話しを聞いて、心にしみ入りました。
自分たちで暮らしをつくる。仲間をつくる。町をつくる。
その真ん中に、「市」がある。


京都は人と人が近くて、どこかでご縁がつながっている。
「市」は、好きなものと出会えて、作り手や仲間が見つけられる場所。
旅の日程と合えば、ぜひのぞいてみてください。





京のおやつ


フルーツサンドには愛がある
京都でいま人気のおやつが、フルーツサンド。果物専門店がつくるフルーツサンドは、贈答用としても人気で、大人にもファンが多く、最近、新しいお店でもメニューにお目見えしています。大好きなお店のひとつが、「クリケット」。定番の果物をベースに、季節の果物も加え、生クリームにはリンゴのスライスを和えてアクセントにしています。どこから見ても美しく、どこから食べてもおいしい。なんてしあわせなことでしょう。女性が口にしやすいように小ぶりなサイズに切り分けた「ZEN CAFE」、季節感を出したくてメニューにしたという「市川屋珈琲」……好きな店は増える一方でうれしい。果物の熟し具合を見極めて、確保するのもたいへんなフルーツサンドは、愛がなければ出せないメニュー。口いっぱい、季節を感じてください。

著者プロフィール

宮下亜紀(みやした・あき)

京都に暮らす、編集者、ライター。
出版社にて女性誌や情報誌を編集したのち、生まれ育った京都を拠点に活動。「はじめまして京都」(共著)のほか、「イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由」(イノダコーヒ三条店初代店長 猪田彰郎著)、「絵本といっしょにまっすぐまっすぐ」(メリーゴーランド京都店長 鈴木潤著、共にアノニマ・スタジオ)、「雑貨店おやつへようこそ 小さなお店のつくり方つづけ方」(トノイケミキ著、西日本出版社)など、京都の暮らしから芽生えた書籍や雑誌の編集を手がける。
www.instagram.com/miyanlife/


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