これはとてもユニークなレシピです。チェリーパイと言えば、一般的に上下2枚のパイ生地の間にとろみのついたチェリーフィリングを挟んだタイプをイメージされると思います。しかしこれは、パイ生地(本著ではペイストリー生地と呼んでいます)はアメリカのコブラーのように上に1枚だけで、フィリングは水分たっぷりのコンポートです。おまけに砂糖の量は適量と来ています。完成写真がないと、どんな仕上がりになるか想像が難しいですよね。
ご参考までに報告しますと、試作時にはフィリング用としてグラニュー糖を大さじ7、上にふりかける仕上げ用には小さじ2を使っています(さくらんぼは、アメリカン・チェリー/ビン・チェリーを使用。手ごろな値段かつ、火を通しても色があせないのでお勧めです)。
焼きあがったばかりの物は、パイ生地がパリっとしておらず、さくらんぼの味は水分に溶け出て味にまとまりがないので、必ず常温で休ませて全体の味を落ち着かせてから召し上がってください。
*パイ生地(ペイストリー生地)のレシピは本著82ページ
焼き上がり



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読んで、作って、楽しめるメアリー・ポピンズの世界

台所のメアリー・ポピンズ
おはなしとお料理ノート

作:P.L.トラヴァース
絵:メアリー・シェパード
おはなし訳:小宮由
お料理訳:アンダーソン夏代
本体価格1600円(税別)

「メアリー・ポピンズ」という名前を、聞いたことはあるけれど、お話は読んだことがない、という方もいらっしゃるかもしれません。児童文学の定番であり、多くの読者が世界中にいるシリーズの主人公です。この本には、ファンの方であればより楽しめ、はじめて出会う人には「入門」になるようなお話の世界が1週間分に凝縮されています。そして一番の特徴は、メアリー・ポピンズのお料理ノート。子どもだけで出来る簡単なメニューから、大人もはじめて挑戦するようなイギリスの伝統料理、読むだけでもいろんな想像が膨らむレシピをお楽しみください。


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